マンガ界の巨匠たちが 過ごした「トキワ荘」 文化資産を活かし、 住民自ら街を元気に

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マンガ界の巨匠たちが過ごした「トキワ荘」文化資産を活かし、住民自ら街を元気に 2021.12.01

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マンガ界の巨匠が下積み時代を過ごしたアパート、トキワ荘。その文化資産を生かし、持続可能なまちづくりに取り組んでいるのが小出幹雄さんです。長きにわたってとしま・南長崎の街を見つめてきた小出さんに、街を元気づけるためのこれまでの取り組みや今後の展望を伺いました。

Profile 小出 幹雄さん Mikio KOIDE

トキワ荘商店街(旧・南長崎ニコニコ商店街)の元時計店を改装し、トキワ荘マンガミュージアムに隣接するブックカフェ「ふるいちトキワ荘通り店」の大家として活動しながら商店街会長も務める。また、トキワ荘協働プロジェクト協議会のメンバーとして、トキワ荘を活かしたまちづくりを積極的に推進している。

手塚治虫、藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄、石森章太郎、赤塚不二夫・・・。豊島区には、名だたるマンガ家が青春を送ったアパート、トキワ荘がありました。

当時の建物は解体されてしまいましたが、2020年、その再現施設である「トキワ荘マンガミュージアム」がオープン。その裏側には街を元気にしようと取り組み続けた、住民の姿がありました。小出さんは、トキワ荘を活かした町おこしの歴史についてこう語ります。

小出「もともと父が商店街の会長を務めていたのですが、時を経て私が受け継ぐことに。しかし、100店舗ほどあった商店街の店の数は4分の1に減り、以前のような活気を失ってしまっていたんです。『住み続けられるまちづくり』のために何かできないか考えた結果、トキワ荘という文化資産を活かさない手はない、と気づきました」

2007年7月には、豊島区の隣の商店街と共同で、「トキワ荘跡入り口」の誘導看板の設置から活動はスタート。その後、「トキワ荘のヒーローたち」と称した記念碑や、トキワ荘出身作家の書籍や部屋の再現展示がある「お休み処」を地域の要望で区が設置。除幕式では多くのメディアや来街者でにぎわいました。

小出「大切なのは、地域の課題を人任せにせず、住民自らが動くということです。自分たちで町を元気づけようと動いたからこそ、区長にも熱意が伝わり、行政と連携したミュージアム設立に繋がりました。ゆくゆくは、住民一人ひとりに『おもてなし』の意識を持っていただき、まち全体がミュージアムのようになればいいですね」
現在、ミュージアムではコロナ禍のため来館人数を制限していますが、今後観光客がたくさん訪れることを心待ちにする小出さん。としま発のマンガ・アニメ文化を、日本、そして世界へ――。トキワ荘を活かしたまちづくりへの挑戦は、まだまだ続きます。

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